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口周りの肌荒れは皮膚炎かも?口囲皮膚炎のサイン
口の周りに、赤いプツプツとした発疹ができて、なかなか治らない。そんな症状が続く場合、それは単なる肌荒れではなく、「口囲皮膚炎(こういひふえん)」という特定の皮膚疾患かもしれません。口囲皮膚炎は、その名の通り、口の周り(特に鼻の下から口角、顎にかけて)に、ニキビに似た赤い丘疹や、小さな膿疱が多発する病気です。特徴的なのは、唇の縁のぎりぎりの部分は赤くならず、まるで輪を描いたように症状が出ない「口唇輪郭帯(こうしんりんかくたい)」が見られることです。かゆみを伴うこともありますが、ヒリヒリとした刺激感や、ほてりを感じることの方が多いようです。見た目がニキビやヘルペスと似ているため、自己判断で市販のニキビ薬やステロイド軟膏を使ってしまい、かえって症状を悪化させてしまうケースが少なくありません。口囲皮膚炎の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関わっていると考えられています。最も大きな誘因とされるのが、ステロイド外用薬の長期的な使用です。顔の他の部分の湿疹治療で使っていたステロイドを、口周りにも使い続けることで発症することがあります。また、化粧品や日焼け止め、フッ素配合の歯磨き粉などが、肌の常在菌のバランスを崩したり、毛穴を詰まらせたりすることも原因の一つとされています。その他、ストレスやホルモンバランスの乱れ、胃腸の不調なども関与している可能性が指摘されています。もし、あなたの口周りの肌荒れが、赤いプツプツとした発疹で、唇の周りに症状のない輪が見られ、そして市販薬を使っても一向に改善しないのであれば、口囲皮膚炎を疑い、一度皮膚科専門医を受診することを強くお勧めします。正しい診断のもと、ステロイドの使用を中止し、抗菌薬の内服や外用など、適切な治療を受けることが、つらい症状から抜け出すための最も確実な道筋です。