口の中に、原因不明のしこりを見つけてしまった時、多くの人が最初に悩むのが「一体、何科の病院に行けばいいのだろう?」ということではないでしょうか。内科?皮膚科?それとも耳鼻咽喉科?正しい診療科を選ぶことは、迅速かつ的確な診断と治療への第一歩です。結論から言うと、口の中にできたしこりの専門家は、「歯科」あるいは「口腔外科」です。まず、最も身近でアクセスしやすいのが、かかりつけの「歯科医院」でしょう。一般的な歯科医院でも、口の中の粘膜の病気に関する基本的な知識は持っています。視診や触診によって、そのしこりが緊急性の高いものか、あるいは良性の可能性が高いかを、ある程度判断してくれます。粘液嚢胞や線維腫など、良性の一般的なものであれば、その歯科医院で診断が確定し、経過観察となったり、必要であれば簡単な切除手術を行ったりすることも可能です。もし、そのしこりが悪性の可能性を否定できない、あるいはより精密な検査が必要だと歯科医師が判断した場合には、より専門的な「口腔外科」を紹介してくれます。口腔外科は、口の中(口腔)、顎(がく)、顔面、そしてその周辺の病気を専門に扱う診療科です。大学病院や地域の総合病院などに設置されていることが多く、口腔がんの診断と治療のスペシャリストが集まっています。口腔外科では、CTやMRIといった画像検査や、しこりの一部を切り取って調べる「生検(組織検査)」などを行い、確定診断を下します。もちろん、最初から大学病院などの口腔外科を受診することも可能ですが、その場合は紹介状が必要になることが多いです。したがって、最もスムーズな流れとしては、まずは近所の信頼できる歯科医院を受診し、そこでの判断を仰ぐのが良いでしょう。いわば、町の歯科医院は「口の健康の総合窓口」です。しこりの種類によっては、耳鼻咽喉科の領域と重なることもありますが、最初の窓口としては、まず歯科・口腔外科を選ぶのが最も確実な選択と言えます。
口の中のしこり、何科を受診すればいい?