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八重歯はなぜできた?その原因を探る
チャームポイントとして語られることもある八重歯ですが、そもそもなぜ歯は本来の列から飛び出して生えてきてしまうのでしょうか。八重歯が形成される原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。最も根本的な原因として挙げられるのが、顎の大きさと歯の大きさのアンバランスです。これは遺伝的な要素が大きく、生まれつき顎の骨格が小さい、あるいは歯の一本一本が大きいという特徴を持っている場合、全ての歯が歯列アーチの中にきれいに収まるためのスペースが物理的に不足してしまいます。特に、最後に生えてくることが多い犬歯は、このスペース不足の煽りを最も受けやすく、行き場をなくして外側へとはみ出してしまうのです。現代人の食生活の変化も、顎が十分に発達しない一因とされています。昔に比べて柔らかい食べ物が増えたことで、子供の頃に「噛む」という行為の回数が減り、顎の骨の成長が促されにくくなっているという指摘もあります。また、乳歯から永久歯への生え変わりの時期に起こるトラブルも、八重歯の大きな原因となります。例えば、虫歯などで乳歯が本来の時期よりも早く抜けてしまうと、空いたスペースに後ろの歯が移動してきてしまい、後から生えてくる永久歯(特に犬歯)の場所がなくなってしまいます。逆に、乳歯がいつまでも抜けずに残っていると、永久歯はそれを避けて異常な位置から生えてこざるを得ません。さらに、幼少期の癖が歯並びに影響を与えることもあります。指しゃぶりや爪を噛む癖、舌で前歯を押す癖、口をぽかんと開けている口呼吸の習慣などは、歯に持続的な圧力を加え、歯列を乱す原因となり得ます。このように、八重歯は単なる偶然の産物ではなく、遺伝的な背景や成長過程の環境、そして日々の小さな習慣が積み重なって生まれるものなのです。