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気になりすぎる口の中。血餅への不安を和らげる思考法
抜歯後の口の中は、まさに異世界です。歯が一本なくなり、そこには不気味な穴と、ゼリー状の血餅。舌が少し動くだけで、その存在を敏感に感じ取ってしまい、「今、少し動いたかも」「取れそう…」と、四六時中、血餅のことで頭がいっぱいになってしまう。この精神的なストレスは、経験した人にしかわからないつらさがあります。しかし、過剰な心配は、かえって回復の妨げになることさえあるのです。では、どうすればこの不安を少しでも和らげることができるのでしょうか。まず大切なのは、「自分の体の治癒力を信じる」ことです。血餅が形成され、傷が治っていくのは、人間が本来持っている素晴らしい自己修復機能です。あなたが特別なことをしなくても、体はちゃんと治ろうと頑張ってくれています。あなたの役割は、その頑張りを邪魔しないように、安静に見守ってあげることだけなのです。次に、「気にしないことが一番の薬」だと割り切ること。もちろん、注意事項を守ることは大前提ですが、それ以上に神経質になりすぎると、かえってストレスで血行が悪くなったり、気になって舌で触る回数が増えたりと、逆効果になりかねません。不安な気持ちを紛らわすために、好きな映画を見たり、音楽を聴いたり、読書をしたりと、口の中から意識をそらす時間を作りましょう。また、「完璧じゃなくても大丈夫」と自分を許してあげることも大切です。例えば、うがいの際にほんの少し血が滲んだとしても、それで即ドライソケットになるわけではありません。多少のトラブルは、体がリカバリーしてくれます。過度に自分を責めず、「できる範囲で気をつけていれば大丈夫」と、大らかな気持ちで構えましょう。そして、どうしても不安が拭えない時は、一人で抱え込まずに、抜歯した歯科医院に電話で相談してみてください。専門家から「そのくらいなら大丈夫ですよ」という一言をもらうだけで、心は驚くほど軽くなるものです。