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子供の口の中のしこりで親が知っておくべきこと
自分の子供の口の中に、ぷくっとしたしこりを見つけると、親としては非常に心配になるものです。すぐに病院に連れて行くべきか、少し様子を見ても良いのか、判断に迷うこともあるでしょう。子供の口の中にできるしこりには、大人とは少し異なる特徴があり、その多くは緊急性の低い良性のものです。しかし、正しい知識を持って対処することが大切です。子供の口の中にできるしこりで、最も頻繁に見られるのが「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」です。特に、下唇の内側によくできます。これは、食事中などに誤って唇を噛んでしまい、唾液を出す小さな管が傷ついて詰まり、唾液が粘膜の下に風船のように溜まってしまうことで起こります。痛みはなく、青みがかった透明感のある、柔らかいドーム状のしこりとして現れます。自然に潰れて一時的に治ることもありますが、再発を繰り返すことが多いのが特徴です。また、生まれつき見られる「上皮真珠(じょうひしんじゅ)」も、新生児や乳児の歯茎や上顎によく見られます。これは、歯ができる過程で、粘膜の組織が迷入してできたもので、白くて硬い、真珠のような小さな粒として現れます。痛みはなく、成長とともに自然に消えていくことがほとんどなので、治療の必要はありません。その他にも、歯が生えてくる時に歯茎が青黒く腫れる「萌出嚢胞(ほうしゅつのうほう)」や、ウイルス感染による「乳頭腫」なども見られます。子供の場合、悪性の腫瘍ができることは極めて稀ですが、ゼロではありません。親として大切なのは、まずパニックにならずに、そのしこりの様子をよく観察することです。いつからあるのか、大きさや色に変化はないか、子供が痛がったり気にする素振りを見せたりしていないか、などをチェックしましょう。そして、不安であれば、小児歯科や歯科、あるいはかかりつけの小児科に相談してください。ほとんどの場合は「心配いりませんよ、様子を見ましょう」という診断になりますが、専門家に見てもらうことで、親として大きな安心を得ることができるのです。