社会人になってから数年間、私は常に口の周りの肌荒れに悩まされていました。特に口角のあたりが赤くカサカサになり、ひどい時には皮がむけてヒリヒリと痛むのです。ファンデーションを塗っても、乾燥した皮が浮き上がってしまい、かえって目立ってしまう始末。人と話す時も、相手の視線が自分の口元に集中しているような気がして、自信を持って笑うことができなくなっていました。皮膚科にも通い、ステロイド軟膏を処方してもらいました。塗れば一時的には良くなるのですが、薬をやめるとすぐに再発。まるでモグラたたきのように、ぶり返す肌荒れに、心身ともに疲れ果てていました。そんなある日、私は自分の生活習慣を根本から見直してみようと決意しました。まず疑ったのは、食生活です。当時は仕事が忙しく、外食やコンビニ弁当が当たり前。野菜不足で、スナック菓子や甘いものを間食することも多く、便秘がちでした。私は、腸内環境が肌に影響しているのではないかと考え、発酵食品であるヨーグルトや納豆、そして食物繊維が豊富な野菜やきのこを積極的に食事に取り入れることにしました。次に、スキンケアの方法です。良かれと思って、化粧水や美容液を何種類も重ね付けしていましたが、それがかえって肌への刺激になっているのかもしれないと考え、思い切ってシンプルな保湿ケアに切り替えました。低刺激性の化粧水と、ワセリンやセラミド配合のクリームだけ。そして、洗顔後や食事の後など、肌に水分がついたら、こすらずに優しくティッシュで押さえるように拭くことを徹底しました。そして、意外な盲点だったのが「歯磨き粉」です。泡立ちの良いスッキリするタイプを好んで使っていましたが、これを低刺激性のジェルタイプに変えてみました。これらの地道な努力を続けて三ヶ月ほど経った頃、私は自分の肌に明らかな変化が起きていることに気づきました。あれほど赤くカサカサしていた口周りの肌が、落ち着きを取り戻し、ヒリヒリとした痛みも感じなくなっていたのです。根本的な原因は一つではなかったのかもしれません。しかし、自分の体と丁寧に向き合ったことで、長年の悩みから解放されたこの経験は、私に大きな自信を与えてくれました。
しつこい口周りの肌荒れを克服した体験談