「血餅が取れると大変なことになる」と歯科医師に言われ、恐怖を感じている方は多いでしょう。その「大変なこと」の正体こそが、「ドライソケット」です。これは、抜歯後のトラブルの中で最も痛みが強いと言われ、誰もが避けたいと願う状態です。ドライソケットとは、その名の通り、抜歯した穴(ソケット)が乾いて(ドライ)しまう状態を指します。通常、抜歯後の穴は血餅という名の「かさぶた」で覆われ、保護されています。しかし、何らかの理由でこの血餅が剥がれてしまったり、うまく形成されなかったりすると、穴の中にある顎の骨が剥き出しになってしまうのです。皮膚の怪我で言えば、かさぶたを無理に剥がして、生々しい傷口が露出しているのと同じ状態です。骨は非常にデリケートな組織で、直接口の中の刺激や細菌に晒されると、激しい炎症を起こします。これが、ドライソケットの耐え難い痛みの原因です。症状としては、抜歯後2〜3日経って、一度は治まりかけていた痛みが、再び、あるいは以前よりもさらに強くぶり返してくるのが特徴です。ズキズキとした拍動性の痛みが持続し、時には耳や頭、顎全体にまで痛みが広がります。市販の痛み止めではほとんど効かないほどの激痛と言われます。また、口の中から特有の不快な臭いがすることもあります。もし、このような症状に心当たりがある場合は、決して我慢してはいけません。ドライソケットは自然に治ることはなく、放置すれば治癒が大幅に遅れるだけです。すぐに抜歯した歯科医院に連絡してください。歯科医院では、傷口を洗浄し、炎症を抑える薬を詰めるなどの適切な処置を行ってくれます。その処置を受ければ、あれほどひどかった痛みも和らいでいきます。血餅が取れてしまっても、パニックにならずに専門家の助けを求めること。それが、ドライソケットという苦痛から抜け出すための唯一の方法です。
もし血餅が取れたら?ドライソケットの真実