口の中にできた痛くないしこり。歯科医院で診てもらった結果、良性のものではあるものの、「大きくなってきているので、切除した方が良いでしょう」と診断されることがあります。手術と聞くと、多くの人が「痛そう」「怖い」といった不安を感じるかもしれません。しかし、口の中の良性腫瘍を切除する手術は、そのほとんどが外来で、短時間で安全に行える、比較的簡単な処置です。手術は、まずしこりのある部分に局所麻酔をすることから始まります。歯の治療で使う麻酔と同じもので、注射の際にチクッとした痛みはありますが、麻酔が効いてしまえば、手術中の痛みは全くありません。麻酔が十分に効いたことを確認した後、歯科医師は、メスやレーザーを使って、しこりをその根本からきれいに切除します。原因となっている組織ごと取り除くことで、再発を防ぎます。例えば、粘液嚢胞であれば、原因となった小唾液腺ごと切除します。切除にかかる時間は、しこりの大きさや場所にもよりますが、通常は15分から30分程度で終了します。切除した後は、傷口を縫い合わせる「縫合」を行います。傷が小さい場合は、自然に治るのを待つこともあります。縫合した場合は、約1週間から10日後に、抜糸のために再度受診する必要があります。手術後、麻酔が切れると、少しズキズキとした痛みが出ることがありますが、処方される痛み止めを飲めば、十分にコントロールできる程度です。食事は、手術当日は麻酔が効いているため、感覚が戻るまで控える必要がありますが、その後は、刺激の少ない柔らかいものであれば食べることができます。手術と聞くと大掛かりなものを想像しがちですが、口の中のしこりの切除は、いわば「お口の中の小さなイボ取り」のようなものです。もちろん、不安なことや疑問点があれば、手術前に遠慮なく歯科医師に質問し、納得した上で治療に臨むことが大切です。放置して大きくなってから手術するよりも、小さいうちに処置する方が、体への負担も少なく、傷跡もきれいに治ります。