最近、以前よりも頻繁に口の中を噛んでしまうようになった。もし、それと同時に体重が増加しているのであれば、その二つの出来事は無関係ではないかもしれません。一見すると、体重と口の中を噛む行為には、何の関係もなさそうに思えます。しかし、実は「太る」ことによって、口の中の環境は大きく変化し、粘膜を噛みやすい状態になってしまうのです。なぜ、体重が増えると口の中を噛みやすくなるのでしょうか。その最大の理由は、頬の内側に「脂肪がつく」からです。私たちの体は、太ると全身に脂肪が蓄積されますが、それはお腹や太ももだけでなく、顔や頬も例外ではありません。頬に脂肪がつき、ふっくらとしてくると、その分、口の中のスペースは狭くなります。頬の内側の粘膜が、今までよりも内側にせり出してくるため、食事の際などに、上下の歯の間に挟まれやすくなってしまうのです。特に、奥歯で物を噛む時に、この頬の肉を巻き込んでしまいやすくなります。また、顎の下にも脂肪がつくことで、舌の動きが制限され、スムーズな動きが妨げられることも、舌を噛んでしまう一因となり得ます。これは、太った人がいびきをかきやすくなるのと同じ原理です。喉の周りに脂肪がつくことで、気道が狭くなるように、舌の付け根周りの脂肪が、舌の可動域を狭めてしまうのです。もし、あなたの噛み癖が、体重増加と同時期に始まったのであれば、食生活の見直しや、適度な運動を取り入れるなど、健康的なダイエットに取り組むことが、根本的な解決策となる可能性があります。体重が減り、頬の脂肪が落ちれば、口の中のスペースも広がり、自然と粘膜を噛むリスクは減少していきます。ダイエットは、見た目のスタイルを良くするだけでなく、口の中の不快なトラブルを解消し、より快適な食生活を取り戻すための、有効な手段でもあるのです。口の中を噛むという小さなサインは、あなたの体が発する、生活習慣全体を見直すためのきっかけなのかもしれません。
太ると口の中を噛みやすくなる?その意外な関係