一生懸命、ゆっくり食べることを意識しても、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングをしても、なぜか口の中の同じ場所ばかりを噛んでしまう。そんな場合は、あなた自身の癖や筋力の問題ではなく、「歯並び」や「噛み合わせ」といった、物理的な原因が潜んでいる可能性を考える必要があります。どのような歯並びが、口の中を噛む原因となるのでしょうか。例えば、上の歯が下の歯に比べて、極端に外側から被さっているような噛み合わせ(シザーズバイト)の場合、頬の粘膜が上下の歯の間に挟まれやすくなります。また、歯がデコボコに生えている「叢生(そうせい)」、いわゆる乱ぐい歯の場合も、特定の歯が頬側や舌側に傾いていることが多く、粘膜を巻き込みやすい原因となります。特に、八重歯のように外側に飛び出している犬歯は、唇の内側を傷つけやすい代表例です。さらに、一本一本の歯の形も関係します。生まれつき歯の先端が尖っていたり、治療した被せ物の形が不適切で、角が立っていたりすると、それがナイフのように粘膜を傷つけてしまうことがあります。このような、歯並びや歯の形といった物理的な問題は、残念ながらセルフケアだけで治すことはできません。この負の連鎖を断ち切るためには、歯科医院での専門的なアプローチが必要になります。歯科医院では、まず、口の中を噛んでしまう原因を徹底的に突き止めます。そして、原因に応じた治療法を提案してくれます。もし、特定の歯の尖った部分が原因であれば、その角をほんの少しだけ丸く削って、滑らかにする処置(咬合調整)を行うことがあります。これだけでも、劇的に症状が改善することがあります。合わなくなった被せ物や詰め物が原因であれば、作り直しが必要です。そして、歯並びそのものが根本的な原因であると判断された場合は、「歯列矯正」が最も効果的な治療法となります。矯正治療によって、歯を正しい位置に動かし、粘膜を巻き込みにくい理想的なアーチを作ることで、噛むリスクを根本から解消することができます。費用や時間はかかりますが、口の中を噛むというストレスから永久に解放されるだけでなく、見た目の美しさや、虫歯・歯周病予防といった、多くのメリットを得ることができるのです。
その噛み癖、歯並びが原因かも?歯科医院でできる治す方法