ドラッグストアの棚にずらりと並んだ歯磨き粉。爽快感を謳うもの、歯周病予防を掲げるもの、ホワイトニング効果をアピールするもの。あまりの種類の多さに、一体どれを選べば良いのか分からなくなってしまう人も多いでしょう。ここで、一つの新しい選択基準として「研磨剤」に着目してみてはいかがでしょうか。自分の口腔内の状態に合わせて研磨剤の有無や種類を選ぶことで、より効果的なオーラルケアが可能になります。まず、コーヒーや紅茶をよく飲み、歯の着色汚れ(ステイン)が気になるという方は、「研磨剤入り」の歯磨き粉が適しています。特に「清掃剤」として「無水ケイ酸」や「シリカ」といった成分が配合されているものは、比較的高いステイン除去効果が期待できます。これらの成分は、歯の表面に付着した頑固な汚れを物理的に磨き落とし、歯本来の白さを保つのに役立ちます。ただし、力の入れすぎには注意が必要です。一方で、冷たいものや熱いものが歯にしみる「知覚過敏」の症状がある方は、「低研磨性」あるいは「研磨剤無配合(フリー)」の製品を選ぶのが賢明です。研磨剤による物理的な刺激は、露出した象牙質をさらに傷つけ、症状を悪化させる可能性があります。硝酸カリウムなど、知覚過敏の症状を抑える薬用成分が配合された、歯に優しい処方のものを選びましょう。また、歯周病で歯茎が弱っていたり、下がってきたりしている方も、低研磨性の製品がお勧めです。デリケートな歯茎や、露出した歯の根元を傷つけないように、優しくケアすることが大切です。現在、特に大きなトラブルはないけれど、できるだけ歯に負担をかけたくないという健康志向の方も、研磨剤無配合のジェルタイプなどを試してみる価値はあるでしょう。自分の口の中の状態を正しく把握し、それに合った研磨剤レベルの歯磨き粉を選ぶ。それが、数多ある製品の中から、あなたにとっての「最適解」を見つけ出すための、新しい羅針盤となるはずです。