口のネバネバは体からの危険信号かもしれません
朝起きた時、口の中がネバネバして不快な思いをした経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。多くの人は「寝ている間に口が乾いただけだろう」と軽く考えがちですが、実はそのネバつきは、あなたの口の中、ひいては全身の健康状態を知らせる重要なサインかもしれません。口のネバネバの直接的な原因は、唾液の質の変化や量の減少にあります。唾液は、単なる水分ではなく、口の中の細菌を洗い流す自浄作用、細菌の増殖を抑える抗菌作用、そして食べ物の消化を助ける消化作用など、多くの重要な役割を担っています。しかし、何らかの理由で唾液の分泌が減り、その流れが滞ると、口の中の細菌が異常に繁殖し始めます。この増殖した細菌や、剥がれ落ちた粘膜の細胞、食べかすなどが唾液と混ざり合うことで、粘り気の強い、不快なネバネバ感が生じるのです。その背景には、様々な原因が隠されています。最も一般的なのは、ストレスや疲労による自律神経の乱れです。緊張状態が続くと、交感神経が優位になり、サラサラとした唾液の分泌が抑制され、ネバネバした質の悪い唾液が出やすくなります。また、口呼吸の癖がある人は、常に口の中が乾燥し、細菌が繁殖しやすい環境になっています。しかし、最も注意すべきなのは、口のネバネバが「歯周病」の初期症状である可能性です。歯周病菌は、ネバネバした物質(バイオフィルム)を作り出し、その中で繁殖します。口のネバつきは、この歯周病菌が活発に活動している証拠かもしれないのです。放置すれば、歯を失うことにもなりかねません。たかが口のネバネバと侮らず、それが続くようであれば、一度専門家である歯科医師に相談し、その原因を突き止めることが、将来の健康を守るための第一歩となるでしょう。