口の中にできる病気、特に口腔がんは、早期に発見できれば、比較的簡単な治療で治癒する可能性が高いと言われています。しかし、初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうケースが少なくありません。そこで、未来の自分の健康を守るために非常に重要になるのが、日々の「セルフチェック」の習慣です。セルフチェックは、決して難しいものではありません。歯磨きの後などに、数分時間を作って、明るい場所で鏡を見ながら行うだけです。以下のポイントを意識して、自分の口の中をじっくりと観察してみましょう。まず、【唇】です。唇の表と裏をめくって、色に変化がないか、しこりやただれがないかを確認します。次に、【頬の内側】です。指で頬を少し広げ、粘膜の表面が滑らかか、硬い部分や白くなっている部分がないかをチェックします。奥歯の近くは見えにくいので、特に注意深く観察しましょう。続いて、【歯茎】です。上下の唇をめくり、歯茎全体の色を見ます。赤黒く腫れていないか、白や赤の斑点がないか、そして原因不明の出血や、しこりがないかを確認します。そして、【舌】です。舌を思い切り前に突き出し、舌の表面全体の色や状態を観察します。その後、舌の先で上顎を触るようにして舌を持ち上げ、舌の裏側と、その付け根あたりも忘れずにチェックしてください。舌の側面もがんができやすい場所なので、舌を左右に動かして、横の部分もしっかりと見ましょう。最後に、【上顎】です。口を大きく開けて、口の天井部分に、異常な盛り上がりや色の変化がないかを確認します。このセルフチェックを、月に一度でも良いので習慣にすることで、口の中のわずかな変化にも気づきやすくなります。そして、もし「いつもと違うな」と感じるしこりやただれ、色の変化を見つけたら、それが痛くなくても、迷わず歯科医院を受診してください。早期発見への最大の鍵は、あなた自身の関心と、日々の小さな習慣なのです。
セルフチェックの習慣が、あなたの口を守る