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奥歯の穴自己診断の危険性とプロの目
奥歯に穴が空いていることに気づいた際、「このくらいなら自分で何とかできないか」「痛みがないから大丈夫だろう」と自己診断で済ませてしまうのは非常に危険な行為です。歯科医療における専門知識と技術がなければ、その穴がどのような状態であるか、どの程度の進行度合いなのかを正確に判断することは不可能だからです。インターネット上の情報や知人の経験談を基に自己判断を下すことは、症状を悪化させ、結果的に治療をより困難で高額なものにしてしまう可能性があります。まず、素人目には小さな穴に見えても、その内部では想像以上に虫歯が進行していることがよくあります。歯のエナメル質は非常に硬いですが、その下の象牙質は比較的柔らかいため、エナメル質に小さな穴が開いただけで、内部では虫歯が大きく広がっている「内部う蝕」という状態であることも少なくありません。これは、まるで氷山の一角のように、目に見える部分よりも水面下の部分が大きいという状況です。プロの歯科医師は、レントゲン写真や口腔内カメラ、特定の器具を用いて、肉眼では見えない部分の虫歯の進行度合いを正確に診断することができます。次に、痛みの有無だけで判断することの危険性も挙げられます。先述の通り、虫歯は初期段階では痛みを感じることがほとんどありません。また、虫歯が神経に達していても、神経が壊死してしまっている場合や、慢性的に炎症が続いている場合には、痛みを感じないことがあります。痛みがないからといって、虫歯が存在しない、あるいは進行していないと考えるのは大きな誤りです。プロの歯科医師は、痛みの有無だけでなく、歯の色調、表面の質感、特定の刺激への反応など、多角的な視点から虫歯の有無や状態を判断します。また、自分でできる応急処置として、市販の詰め物や接着剤を使おうと考える人もいるかもしれません。しかし、これらは一時的なものでしかなく、根本的な解決にはなりません。歯科用の材料は、口腔内の過酷な環境(湿潤、温度変化、咀嚼圧など)に耐えるように設計されており、素人が扱えるものではありません。不適切に詰め物をすると、虫歯菌がその下に閉じ込められてしまい、かえって虫歯の進行を早めたり、新たな感染を引き起こしたりするリスクがあります。