奥歯の歯茎に痛みを感じ、それが首や顎のリンパ節の腫れを伴うという症状は、口腔内の問題が体全体に影響を及ぼしていることを明確に示しています。この現象は、多くの場合、口腔内の細菌感染に対する体の免疫反応の一環として起こります。リンパ節は、体内に侵入した病原体や異物を捕捉し、免疫細胞を活性化させる重要な役割を担っており、首や顎には特に多くのリンパ節が集中しています。奥歯の歯茎の痛みがリンパ節の腫れに繋がる主な原因は、主に以下の3つが考えられます。第一に「親知らずの炎症(智歯周囲炎)」です。親知らずが完全に生えきらず、歯茎に一部が覆われた状態であると、その隙間に食べかすやプラークが溜まりやすくなります。これにより細菌が繁殖し、歯茎に強い炎症を起こします。この炎症が進行すると、細菌やその毒素がリンパ管を通じて近隣のリンパ節に運ばれ、リンパ節が腫れて痛みを生じさせることがあります。重症化すると、顔が腫れたり、口を開けにくくなったり、発熱を伴うことも珍しくありません。第二に、「深い虫歯による感染」です。虫歯が進行して歯の神経(歯髄)にまで達し、細菌感染を起こすと、歯の根の先に膿が溜まる「根尖病巣」を形成することがあります。この感染が周囲の骨組織や軟組織に広がることで、炎症反応がリンパ系に波及し、顎のリンパ節が腫れることがあります。治療せずに放置すると、感染がさらに拡大し、蜂窩織炎などの重篤な状態に発展するリスクもあります。第三に「歯周病の悪化」も挙げられます。歯周病は、歯を支える骨や歯茎が破壊される慢性的な炎症性疾患です。歯周病が進行し、歯茎の深い部分にまで細菌感染が及ぶと、細菌やその毒素がリンパ管や血管を通じて全身に広がる可能性があります。これにより、特に顎の下のリンパ節が反応し、腫れや圧痛を生じさせることがあります。リンパ節の腫れは、体が感染と戦っている証拠であり、決して軽視してはいけません。これらの症状が現れた場合は、速やかに歯科医院を受診することが不可欠です。自己判断で痛みを我慢したり、市販薬で一時的に症状を抑えたりすることは、根本的な原因の解決にはならず、むしろ症状を悪化させる可能性があります。
奥歯の歯茎の痛みがリンパに及ぶ!専門家による解説