私は30代の半ばまで、自分の歯がボロボロであることを隠し続けて生きてきました。20代の頃に仕事のストレスから甘いものばかりを摂取し、磨き残しを放置した結果、前歯は欠け、奥歯は次々と崩壊していきました。鏡を見るたびに自己嫌悪に陥り、人前で笑うことなど到底できません。歯医者に行かなければならないことは百も承知でしたが、何よりも「あんなにひどい口の中を見せて、先生に軽蔑されたらどうしよう」という恥ずかしさが勝ってしまい、痛みが出ても市販の鎮痛剤で誤魔化す毎日でした。そんな私がようやく受診を決意したのは、親友の結婚式が決まり、受付を頼まれたことがきっかけでした。このままでは親友の晴れ舞台に泥を塗ってしまう、その一心で必死に「恥ずかしい人歓迎」「ボロボロでも大丈夫」というキーワードを掲げている歯科医院を検索しました。予約当日、受付で名前を書く手が震えるほど緊張していましたが、カウンセリングで対応してくれた歯科衛生士さんは、私のボロボロな口の中を見ても顔色一つ変えず「ここまで一人で耐えてこられたんですね、大変でしたね」と、私の苦労を労う言葉をかけてくれました。その一言で、私の心のダムが決壊し、気づけば涙が溢れていました。歯科医師の先生も「今の技術なら、必ず綺麗に治りますよ。一緒に頑張りましょう」と、淡々と、しかし力強く今後の計画を説明してくれました。私を責める人は誰もいなかったのです。治療が始まると、不思議なことにあれほど強かった恥ずかしさは消え、少しずつ歯が整っていく喜びの方が大きくなっていきました。現在は治療を終えて2年が経ちますが、私は今、大きな口を開けて笑い、友人と美味しい食事を楽しんでいます。もし、昔の私と同じように「恥ずかしくて行けない」と震えている人がいるなら、伝えたいです。あなたの不安を否定せず、受け止めてくれる専門家は必ずいます。恥ずかしいという感情は、あなたが自分の体を大切にしたいと願っている証拠です。その願いをプロに託してみてください。ほんの少しの勇気が、あなたのその後の数十年を、光り輝くものに変えてくれるはずです。